粗線と殿筋粗面 — 筋のあしあとを読む
大腿骨後面の稜を、筋の付着のあしあととして解釈します。
後面を縦に走る粗い稜
大腿骨の前面は滑らかですが、後面には粗線と呼ばれる粗い稜が骨幹をずっと縦に走ります。大腿骨を前面と後面で見比べると、違いが最も分かりやすい部位がこの粗線です。
上端で広がる殿筋粗面
粗線は上に向かうと、外側の縁が広がって粗い面になります。ここが殿筋粗面で、殿筋側の大きな筋の付着を受け止める部分です。前面が滑らかで後面だけが粗いのは、この部分に強い付着があるからだと納得できます。
下端は内転筋結節で終わる
粗線は下方へ行くと次第に目立たなくなり、内側上顆の上方にある内転筋結節という小突起が末端の目印になります。粗線を上から下へたどる観察では、上方は殿筋粗面の広がり、下方は内転筋結節の突出という2つの終点を確認します。
| 稜 | 位置 | 骨へ来るもの |
|---|---|---|
| 粗線 | 骨幹後面を縦に走る稜 | 縦の隆起そのもの |
| 殿筋粗面 | 粗線の上端、外側側の粗い面 | 殿筋側の付着 |
| 内転筋結節 | 粗線の下端、内側上顆の上方 | 内転筋側の付着 |
力に沿ってできたあしあととして見る
骨は加わる力に沿って形づくられる性質があります(ヴォルフの法則)。筋の牽引を長く受けた部分には、粗い稜や粗面ができます。骨の名称だけを暗記している段階でも、「後面の粗い稜はあしあと」という視点を持つと、大腿骨の前後と粗線の位置を同時に練習できます。
復習ポイント
大腿骨の後面図を描き、骨幹の中央に粗線、上端に殿筋粗面、下端に内転筋結節を書き込んでください。前後を決める観察(前面は滑らか、後面は粗線)と合わせて確認しましょう。
参考資料
OpenStax『Anatomy and Physiology 2e』8-4-bones-of-the-lower-limb